夏にやりがちな健康迷信10選 - physica

暑い夏が本格化すると、夏バテや熱中症に注意が心配になりますね。

しかし、「体に良い」「熱中症予防になる」と言われてきた習慣が、実は医学的・科学的には逆効果の健康迷信である場合もあるので注意が必要です。

暑い部屋にいる女性

夏の健康迷信10選

迷信①「ビールは水分補給になるから熱中症対策になる」

→ビールを飲むほど、体内の水分は失われます。

アルコールには強い利尿作用があります。特にビールは摂取した量以上の水分(1リットルのビールで約1.1リットル)を尿として排出させてしまうと言われており、飲むほど脱水症状が進みます。夏のビアガーデンやBBQでは、ビールとは別に必ず「お水」を同量以上飲みましょう。

迷信②「たくさん水を飲めば熱中症は防げる」

→水だけを大量に飲むと、「低ナトリウム血症(水中毒)」を引き起こす危険性があります。

大量の汗をかいたときに水だけを飲むと、血液中の塩分(ナトリウム)濃度が薄まってしまいます。脳がこれ以上濃度を下げまいとして尿として水分を排出させてしまうため、脱水が加速したり、頭痛やめまいを引き起こしたりします。汗をかいたら塩分(0.1〜0.2%の塩水やスポーツドリンク)もセットで補給するのが鉄則です。

迷信③「冷たい飲み物は体に悪いから常温の水を飲むべき」

→熱中症リスクが高い環境では、5〜15℃の冷たい飲み物がベストです。

内臓を冷やさないために常温を意識するのは普段なら良い習慣ですが、酷暑の中では話が変わります。冷たい飲み物は体内(深部体温)を直接冷却する効果があり、さらに胃からの吸収速度も常温より早いというメリットがあります。体を冷やすべき状況では、冷たいドリンクを選びましょう。

迷信④「夏バテ防止に『うなぎ』や『焼肉』を食べる」

→すでに胃腸が弱っているときに油っこいものを食べると、夏バテが悪化します。

暑さで自律神経が乱れると、消化機能も著しく低下します。そこに脂質の多いうなぎや肉類を投入すると、消化にエネルギーを持っていかれ、胃もたれや疲労感を増長させる原因に。夏バテ予防に重要なのは、糖質を代謝してエネルギーに変えるビタミンB1(豚肉、大豆製品など)や、胃腸に優しいアリシンを含む食材(ネギ、にんにく)をバランスよく摂ることです。

迷信⑤「夏はそうめんや冷やし中華だけでサッと済ませるのが健康的」

→炭水化物(糖質)だけの食事は、夏バテのド真ん中を突き進む原因になります。

サッパリしたものだけで済ませようと、そうめん単品で終わらせていませんか? 炭水化物ばかりでタンパク質やビタミンが不足すると、エネルギーが効率よく作られず、だるさや疲労感が抜けない「新型夏バテ」に陥ります。卵、ツナ、豆腐、オクラなどをトッピングして、栄養の密度を上げましょう。

迷信⑥「エアコンは体によくないから、扇風機だけで粘る」

→室温が31℃を超えると、扇風機は「温風機」になり熱中症リスクを跳ね上げます。

「エアコンの風は体に悪い」という昔ながらのイメージがありますが、現在の日本の夏は災害級の暑さです。気温が皮膚の温度(約32〜33℃)に近づくと、扇風機の風は体を冷やすどころか、熱風を体に吹き付けて体温を上昇させる原因になります。エアコンをためらわずに使い、室温は28℃以下をキープするのが命を守る行動です。

迷信⑦「冷房病(クーラー病)対策には、設定温度を高め(30℃など)にする」

→設定温度を上げすぎると室内で熱中症になります。

冷房病の原因は、エアコンの冷気そのものよりも「外気との激しい温度差(7℃以上)」による自律神経の乱れです。室温を30℃にすると熱中症の危険が高まります。冷房病対策としては、設定温度を26〜28℃にしつつ、サーキュレーターで風を循環させる、上着やひざ掛けで「直接風が当たるのを防ぐ」のが正解です。

迷信⑧「汗をたくさんかけば、暑さに強い体(暑熱順化)になる」

→猛暑の中で無理に汗をかいても、体力が消耗するだけで危険です。

確かに体を暑さに慣らす「暑熱順化」は重要ですが、これは本格的な夏が来る前(5〜6月頃)に、ウォーキングや入浴でジワジワと行うものです。最高気温が35℃を超えるような真夏に、冷房のない部屋で汗をかこうとしたり、厚着をして運動したりするのは熱中症への直行便。真夏は「いかに汗をかかずに涼しく過ごすか」にシフトしてください。

迷信⑨「暑い夜は、冷たいシャワーを浴びてから寝ると涼しく眠れる」

→冷たいシャワーは交感神経を刺激し、逆に寝苦しくなります。

冷水シャワーを浴びると、皮膚の血管が急激に収縮します。すると体内の熱が外に逃げにくくなり、お風呂上がりに逆に体が火照ってしまいます。さらに、眠りにつくためには「深部体温」が下がっていく必要がありますが、冷水はこのリズムを邪魔します。夏こそ38〜40℃のぬるめのお湯に湯船で浸かるほうが、血管が適度に開いて深部体温がスムーズに下がり、質の高い睡眠につながります。

迷信⑩「寝るときのエアコンはタイマー(3時間など)で切るのが体に良い」

→タイマーが切れた後の室温上昇で、夜間熱中症のリスクが激増します。

夜間に熱中症で救急搬送されるケースは非常に多いです。エアコンが切れた後に室温と湿度が急上昇すると、寝ている間に大量の汗をかき、自律神経が体温調節のためにフル稼働して、朝起きた時にドッと疲れている「寝起き夏バテ」の原因にもなります。夏の夜は設定温度を27〜28℃にして、朝までつけっぱなしにするのが、睡眠の質と安全面の両方において正解です。

日本の夏を乗り切ろう

昔ながらの健康の常識や体に良さそうなイメージも、近年の日本の猛暑においては、通用しないばかりかリスクになるものが増えています。

  •  水分だけでなく「塩分」も! 
  • 冷房は我慢せず「賢くつけっぱなし」に!
  • サッパリ飯だけでなく「タンパク質・ビタミン」を!

迷信に惑わされず賢く過ごして、この夏を元気に乗り切りましょう!

この記事のライター

physica編集部

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