腹圧って何?正しく知ってトレーニング効率を上げよう - physica
トレーニング動画やwebサイトでもよく耳にする「腹圧(ふくあつ)」という言葉。
なんとなく「お腹に力を入れること」と思っている人も多いかもしれませんが、実はそれだけではありません。
腹圧は体幹の安定やケガ予防に直結する、非常に重要なトレーニングの要素なのです。
腹圧とは?
正しくは「腹腔内圧」。つまり、お腹の内側にかかる圧力のことです。
腹腔(ふくくう)という、お腹の中にある空間に空気や内臓が入っていて、その空間を周囲の筋肉がギュッと締めることでその内側の圧力が高まります。

少し空気の抜けた風船を左右からギュッと手で押しつぶすと、空気の入っている部分がパンパンに張るのと似ていますね。
腹圧を保つ筋肉
この腹圧を保っているのが、以下の筋肉たちです。

- 横隔膜(おうかくまく):呼吸で動く、肺の下にある膜状の筋肉
- 腹横筋(ふくおうきん):お腹の一番奥にある「筋肉コルセット」
- 多裂筋(たれつきん):背骨の近くにある筋肉
- 骨盤底筋群(こつばんていきんぐん):下から内臓を支える筋肉群
これらがバランスよく働くことで、体幹が筒のように安定し、重い物を持ち上げるときや姿勢を保つときに身体を守ってくれます。
腹圧を高める筋肉
ただし、トレーニングの時などはいくら腹圧が高くなっていても姿勢そのものが崩れていては体幹は安定しません。
それを正しい形で固定し、さらに腹圧を高めるサポートをしてくれるのが以下の筋肉たちです。

- 腹直筋(ふくちょくきん):いわゆる「シックスパック」
- 外腹斜筋(がいふくしゃきん):お腹の側面にある大きな筋肉
- 内腹斜筋(ないふくしゃきん):外腹斜筋の内側にある筋肉
- 脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん):腰から首まである筋肉群
なぜ腹圧が大事なのか?

1. 腰痛予防になる
腹圧を高めることで腰椎(ようつい)が安定し、腰への負担を減らせます。逆に腹圧が抜けた状態でトレーニングを行うと、腰を痛めやすくなります。
2. パフォーマンスが上がる
スクワットやデッドリフトのような動作で腹圧をかけると、力を効率よく全身の筋肉に伝えられるため、より大きな重量を安全に扱えます。
3. 姿勢が安定する
体幹がしっかり支えられるため、猫背や反り腰の改善にも役立ちます。
腹圧のかけ方(練習の手順)
「お腹の内圧を高める」と言われても、やったことのない人にとっては実際にどうすればいいのか見当もつかないと思います。
ここからは、初めての方向けに腹圧のかけ方を順を追って説明します。
① 腹圧を覚える
まず、リフティングベルト(普通のベルトでもOK)を“立ったまま”“思いっきりお腹を凹ませて”きつく巻きます。
その状態でしゃがんでみましょう。
立ったままでもきつかったベルトが、しゃがんだことでさらにお腹を圧迫してくると思います。
しゃがんだ時に背中が丸まってしまった人は、背すじを伸ばして再び行ってみてください。さらにもう1段階お腹が圧迫されるはずです。
これが腹圧がかかっている状態。まずは、この感覚を覚えておきましょう。
② 自分自身の筋力で再現する
次にベルトを外して背すじを伸ばします。
そのまま腹筋に力を入れます。これは腹直筋を固くするイメージでOKです。
これでベルトを巻いてしゃがんだ時のような圧迫感がお腹にあれば成功です。
③ 実際に腹圧をかけてトレーニングを行う
最後に実践です。ジムでスクワットやデッドリフト、アームカールなどの「立って行うフリーウェイト」をしっかり腹圧をかけた状態で行って、この技術をものにしましょう。
全くフリーウェイトを行ったことがなくていきなり実践だと不安な人は
“軽めのバーベルを担いでその場足踏み”
から始めるのがオススメです。必ずセーフティーバーを高めに設定したパワーラックで行い、腹圧をかけたままふらつかずに足踏みができるようになったら、その重さでスクワットに挑戦しましょう。
リフティングベルト

トレーニングに慣れてきて、スクワットやデッドリフトなどを高重量で行うセットを組もうとした時、自力の腹圧だけでは体幹が重量に耐えられない時があります。
そんな時に腹圧をサポートしてくれるのが、リフティングベルトです。
これで強力に腰を締めつけることによって自分の筋力で作れる以上の腹圧をかけることができ、比較的安全に高重量のトレーニングが行えます。
ただし、いくつか注意したい点もあります。
- ベルトはきつく巻かないと意味がない。
- ベルトを押し返すように自力の腹圧もかける。
- 着用はセット中のみ。着脱が面倒でも長時間巻きっぱなしにはしない。
- 使用は高重量のみ。頼りすぎると体幹の筋力が育たなくなる。
安全かつ効果的なトレーニングを

腹圧とは、単に「お腹を力ませる」ことではなく、体幹を内側から支える筋肉たちがつくる圧力のこと。腹圧を意識してトレーニングすれば、安全かつ効果的に全身を鍛えることができます。
ぜひ今日のワークアウトから、試してみてください!
この記事のライター
physica編集部
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