なぜ右利きの人の方が多いのか? - physica
私たちの身の回りを見渡すと、文字を書く、箸を使う、ボールを投げるなど、右利きの人が圧倒的に多いことに気づきます。実際、世界人口の約9割が右利きだと言われています。
ではなぜ、人間はここまで右利きに偏ったのでしょうか?
右利きが多い理由
全て確実とは言えないものの、現在までの研究で有力とされているものを挙げてみます。
1.言語を獲得したから

人間の脳は左右で役割が分かれています。
左脳:言語、論理的思考、細かく正確な動作
右脳:空間認知、直感、全体的な把握
多くの人では、左脳が言語や細かい動きの調整を担当しています。そして脳は左右が交差して身体を支配するため、左脳は右半身をコントロールします。
その結果、右手の方が器用になりやすく、文字を書く、道具を扱うなどの動作も右手優位になったという説が最も有力です。
2. 文明の発展で「利き手の統一」は有利だった

人類は長い歴史の中で、集団で狩りや生活を行ってきました。その中で、利き手がある程度そろっていることには大きなメリットがありました。
例:道具や武器を共通の形で作れる、技術や動作を教えやすい、協力作業がスムーズになる、など。
もし利き手が完全にバラバラだと、道具の規格や動作が統一できず、集団としての効率が下がってしまいます。
そのため、右利きが多い集団の方が生存に有利となり、その傾向が世代を超えて受け継がれてきたと考えられています。
3. 社会・文化が右利きをさらに増やした

右利きが多い理由の一つが、社会環境の影響です。
文字は右手で書く前提で普及し、ハサミ、机、改札、工具などは右利き仕様。左利きを矯正する文化が存在した時代もあります。
こうした環境の中で、本来は左利きや両利きだった人が、右手を使うように適応してきました。
特に日本を含む多くの国では、学校教育の影響で右利きが強化されてきた歴史があります。
それでも左利きが一定数存在する理由

現在でも、人口の約10%前後は左利きです。これは偶然ではなく、集団の多様性を保つ進化的なメリットがあるからではないかと考えられています。
例えば、キリンの先祖はとともとオカピのような首の短い動物でしたが、中には突然変異により生まれた少し首の長い個体も数頭いました。この個体は他の個体よりも高い場所のエサが取りやすかったり遠くの敵を見つけやすかったため生存しやすくなり、当然その遺伝子も後世に受け継がれやすくなりました。こうして、より生存しやすい個体の特徴が世代を重ねるごとに強調された結果、キリンは「首の長い動物」として今も存在しています。

つまり、キリンが絶滅しなかったのは、全部が全部首の短い個体ではなく、生存競争に有利な首の長い個体も中にはいたから。
このように、環境の変化に対応できる余裕を種のどこかに残しておくというシステムが自然界には存在しており、左利きの人が一定数存在するのも、そんな生物の進化が生み出した戦略の一つではないかと言われています。
実際、右脳優位による独自の空間認知能力であったり、スポーツで見られる少数派の有利(対戦相手が慣れていない)であったり、現時点でも左利きが不利どころか、特定の状況では強みになることもあります。
こういったことも考えると、右利きも左利きも結局は数が多い/少ないだけの個性の1つに過ぎないと言えるかもしれませんね。
この記事のライター
physica編集部
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