【体感温度】辛いものを食べるとなぜ暑くなる? - physica
辛い料理を食べると、額に汗がにじみ、体がポカポカしてきますよね。
「なんで辛いだけでこんなに体温が上がるの?」「汗出すほど辛いってどういうこと?」と思ったことがある人も多いのではないでしょうか。
実はこれ、ただの味の問題ではなく、身体の防御反応と神経の仕組みが深く関係しているんです。
今回は、辛さと体温の関係を科学的に、でもわかりやすく解説します。

そもそも辛さは【味】ではなく【痛み】
辛いものの主成分 カプサイシン は、細胞膜にある「TRPV1」というTRPチャネルを刺激します。
TRPチャネル(Transient Receptor Potential channel)は、体の細胞膜にある イオンチャネル の一種です。
一言でいえば
外からの刺激(温度・痛み・化学物質など)を感知して、神経を興奮させるスイッチ
のような存在。
TRPチャネルが反応すると、Na⁺やCa²⁺などのイオンが細胞内へ入り、「熱い!」「冷たい!」「痛い!」といった感覚が脳に送られます。
TRPチャネルは全部で27種類あり、それぞれが 特定の刺激 に反応します。
TRPV1はその中の1種で、“43℃以上の熱” や“痛み”を感知するセンサーです。カプサイシンがこのセンサーに刺激を与えることで、脳が 「熱い!痛い!危険だ!」と判断します。
暑くなるのは「脳の錯覚」

つまり、カプサイシンを含んだ辛いものを食べると、実際には高温じゃなくても、脳は痛みと同時に高温にさらされていると勘違いしまい、結果として体は熱さを感じた時と同じような反応を起こすことになります。
① 脳が「体が熱い」と誤認
TRPV1に刺激が入る → 脳は“体温上昇”と判断。
② 血管が広がり、体表面が温まる
熱を逃がそうと血流が増えるので、体がポカポカする。
③ 発汗が起きる
体温調節のために汗が出る。特に額・鼻下・頭皮に出やすい。
メントールは「冷たさセンサー」を騙す

熱くないのに熱く感じるものがある一方で、冷たくないのに冷たく感じるものもあります。
例えばミント類。その清涼感の正体は メントール で、こちらは 「TRPM8」というセンサーを刺激します。
TRPM8は、“26℃以下の冷たさ” を感知するセンサーで、メントールがこのセンサーに冷たい刺激を与えると脳が 「冷たっ!」 と感じます。つまりこれも、実際の温度とは別に、脳が感じる錯覚です。
ではカプサイシンとメントールを同時にとると?
熱さのセンサー(TRPV1)を刺激する カプサイシン と冷たさのセンサー(TRPM8)を刺激する メントール。
ここでちょっと気になるのが、この2つを同時にとったらどうなるか、ということ。
例えば辛いものを食べた後に、ミント類の中でも特にメントール含有量の多いハッカ飴やハッカ飴を口に入れたら、熱さは中和されるのでしょうか?

答えは…、中和されます。
メントールには、TRPM8を刺激するだけでなくTRPV1の刺激を抑制する作用(鎮痛作用)も確認されています。これによって、完全に中和するのは難しいものの、ある程度の熱さや痛みを和らげる効果が期待できます。
実際の体温が変化しているわけではない
ただし、これらはあくまで錯覚であり、実際の体温が変化しているわけではありません。
汗をかきながら激辛カレーを食べても、涼しい顔で甘口カレーを食べても、カレーの持っている熱量が同じであれば、上昇する体温は一緒です。むしろ汗をかきすぎると、その放熱作用で結果的に体温は低下するでしょう。
同じように、夏場にミントを食べて口の中をスースーさせても熱中症対策になるわけではありません。
実際の体温調節が必要な場面では、これらの錯覚にも気をつける必要がありそうですね。
この記事のライター
physica編集部
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