カルシウム足りてる?日本人がカルシウム不足な理由と対策 - physica

日本人のカルシウム摂取量は、世界的に見て非常に少ないというデータがあります。

厚生労働省の令和5年国民健康・栄養調査によると、日本人(成人)のカルシウムの平均摂取量は約500mg/日で、これは男女ともに推奨摂取量を満たしていません。とくにアメリカやドイツなどの欧米諸国の平均摂取量1000〜1200mg/日と比較すると際立って少ないと言えます。

なぜ、私たちはこれほどまでにカルシウムが不足しやすいのでしょうか?

そこには明確な理由が存在します。

日本人のカルシウムが不足しやすい理由

主な理由は2つ。「地理」と「食文化」です。

① 火山国としての地理的特徴(土壌と水質)

火山帯に位置している日本の多くの土地は火山灰土(黒ボク土)で覆われており、この土壌はカルシウムなどの塩基性ミネラルが溶脱しやすく、酸性になりやすいという性質があります。そのため、この土壌で育つ農作物は、カルシウムが豊富な土壌で育ったものに比べ、カルシウム含有量が少なくなりがちです。

また、山と海が近く、傾斜が急な島国ということも相まって、そこを流れる水も鉱物(と言っても元々ミネラルの少ない火成岩ですが)と触れる時間が短いため軟水になります。欧米の多くは時間をかけて石灰岩地層を通った硬水が主流で、日常の飲水から多量のカルシウムを摂取できますが、日本ではそれも期待できません。

② 伝統的な食文化の影響

和食

欧米諸国の食文化では、牛乳、チーズ、ヨーグルトといった乳製品が主要なカルシウム源であり、摂取量の70%以上を乳製品から摂る国もあります。しかし、日本では伝統的に乳製品をあまり摂取しない食習慣が根強く残っています。

また、和食で摂れるカルシウム源(小魚、海藻類)は素晴らしい食材ですが、そのカルシウムは牛乳に含まれるカルシウムよりも吸収率が低いという特徴もあります(牛乳は約40%、小魚・海藻は約30%)。

さらに、日本は味噌汁・漬物・醤油など、塩分(ナトリウム)摂取量が世界でも多い国です。

ナトリウムを多く摂ると、腎臓でカルシウムの排出が促進されます。

つまり、食文化として「カルシウムが入ってこない上に、出ていきやすい」環境ができあがっているのです。

今からできる!カルシウム不足対策

食事の工夫

乳製品

• 牛乳・乳製品の積極的な摂取

吸収率が高く、一度に多く摂取できる牛乳(コップ1杯で約220mg)やヨーグルト、チーズを意識して取り入れましょう。

• 高カルシウムな和食材の活用

干しエビ、しらす、高野豆腐、小松菜、チンゲン菜、モロヘイヤ、木綿豆腐などを毎日の献立に頻繁に登場させましょう。

• 調理法で吸収率アップ

ほうれん草などシュウ酸を多く含む野菜は、カルシウムの吸収を妨げるため、調理前に茹でるなどの一手間を加えるのがおすすめです。

ビタミンDの補給と日光浴

日光浴

カルシウムは、摂取するだけでなく、ビタミンDの助けがないと腸で十分に吸収されません。

•食品からの補給

鮭、カツオ、マグロ、キノコ類(特にきくらげや干ししいたけ)などに多く含まれます。

• 日光浴

ビタミンDは、日光(紫外線)を浴びることで皮膚でも合成されます。1日15〜30分程度、適度な日光浴を心がけましょう(冬場や紫外線が強い時期は注意が必要です)。

骨を強くする運動

適度な運動

骨に刺激を与える適度な運動は、カルシウムの沈着を促し、骨密度を維持・増加させるために不可欠です。ウォーキング、ジョギング、踏み台昇降、筋力トレーニングなど、日常的に継続できる運動を取り入れましょう。

ハンデを乗り越えて

慢性的なカルシウム不足は、(とくに成長期の若年層や閉経後の女性にとって)将来的な骨粗鬆症などの健康リスクにつながりかねません。

風土的にハンデのある日本だからこそ、カルシウムは積極的に摂取することが重要です。

今回紹介した対策をできることから始めて、将来の健康を守る習慣をつくっていきましょう。

この記事のライター

physica編集部

physica編集部

楽しくて役に立つフィットネス情報をお届けしています。

TOP