縁の下の力持ち「ミネラル」──小さくても欠かせない元素のチカラ - physica

タンパク質・脂質・炭水化物の三大栄養素の陰に隠れがちですが、体を整える上で欠かせないのが「ミネラル」。

「微量栄養素」とも呼ばれるこの小さな存在が、私たちの生命活動を支えてくれています。

筋肉の動き、神経の伝達、ホルモンの分泌、骨の形成、体液バランスの調整など、どれもミネラルなしでは成り立ちません。

ミネラルとは

ミネラルとは、私たちのからだをつくる主要な4元素(酸素、炭素、水素、窒素)以外の元素のことを指します。

特に栄養素として不可欠な16種類を必須ミネラルといい、骨や歯、筋肉や血液などの成分となるほか、体の機能維持にも欠かせませんが、体の中では作ることができません。そのため、これらは食事や水、サプリメントなどから摂取する必要があります。

ミネラルは、必要量が多めな主要ミネラルと少なめな微量ミネラルの2種類に分けられます。

どちらにしても食事全体から見れば少ししか必要ありませんが、それでも不足すればすぐに不調が現れるので注意が必要です。

現代人が特に摂取したいミネラル

【カルシウム】骨と心を支える

体内には微量しかないミネラルですが、そのうちの約半分を占めるのがカルシウム。

そんなカルシウムの約99%は骨や歯に存在し、残り1%が血液や筋肉、神経などに分布しています。

そのわずか1%のカルシウムが、筋肉の収縮や神経伝達、血液凝固などに大きく関与しています。不足すると骨がもろくなるだけでなく、筋けいれんやイライラの原因にも。

カルシウムの吸収を助けるビタミンD(日光浴や魚など)を一緒に摂るのがポイントです。

【鉄】酸素を運ぶ

鉄は血液中のヘモグロビンの主成分で、全身に酸素を届ける“配送係”。

不足すれば酸欠状態のように疲れやすくなり、集中力も落ちてしまいます。特に女性は月経による鉄損失があるため注意が必要。

レバーや赤身肉、ひじき、ほうれん草などに多く含まれます。ビタミンCと一緒に摂ると吸収率がアップするので、サラダ+肉料理の組み合わせは理想的です。

【マグネシウム】筋肉と神経を調整

マグネシウムは筋肉の“ブレーキ役”。

カルシウムが筋肉を収縮させるのに対して、マグネシウムはそれをゆるめる働きをします。

不足すると、こむら返りや筋けいれんが起こりやすくなるほか、ストレス耐性の低下にもつながります。

ナッツ類や海藻、玄米などに多く含まれています。特にトレーニングをしている人は、発汗でマグネシウムが失われやすいので意識的に摂りたいところです。

【ナトリウム&カリウム】水分バランスをコントロール

ナトリウム(塩分)とカリウムは、体の水分量や血圧をコントロールする重要なペア。

ナトリウムが多すぎるとむくみや高血圧につながりますが、カリウムがそのバランスを整えます。

野菜や果物(特にバナナ・アボカド・ホウレンソウ)はカリウムの宝庫。外食や加工食品が多い人は、カリウムをしっかり摂ることを意識しましょう。

【亜鉛】味覚と免疫を守る

「最近、味がしない」「風邪をひきやすい」と感じたら、亜鉛不足かもしれません。

亜鉛は細胞分裂やたんぱく質合成を支え、免疫力や味覚の維持に関わります。

牡蠣・レバー・牛肉・卵黄などに多く含まれ、筋肉の修復にも関与するため、トレーニーにも重要なミネラルです。

【セレン】体のサビ止め

セレンは強力な抗酸化作用をもつミネラル。

活性酸素を除去し、老化や生活習慣病を防ぐ働きをします。

魚介類や卵、ナッツ類に多く含まれ、まさに体のサビ止め役。過剰摂取は毒性があるため、サプリより食事での摂取が安全です。

ミネラル不足が起こる原因

現代人は次のような理由でミネラル不足に陥りがちです。

  • 加工食品やインスタント食品の摂りすぎ
  • 極端なダイエットや偏食
  • 運動や発汗によるミネラル喪失
  • アルコールの過剰摂取
  • 過度なストレス

バランスの取れた食事と水分補給が、ミネラルバランスを守る第一歩です。

ミネラルの摂取バランスが健康を左右する

基本的にミネラルは単独では働きません。

カルシウムとリン、カルシウムとマグネシウム、ナトリウムとカリウム、鉄とビタミンCなど、互いに助け合うチームプレイで働きます。

そのため偏食などで特定のミネラルだけを摂りすぎると、逆にチームワークを妨げることにも。たとえばリンは摂りすぎるとカルシウム吸収が阻害されるなど、バランスの崩れが不調を招くこともあります。

ミネラルの過不足をなくすという意味でも、食事はバランスが重要です。

この記事のライター

physica編集部

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