意外と知らない、牛乳と母乳の違い。 - physica
牛乳は私たちの貴重なタンパク源の一つ。市販されているプロテインも牛乳由来のものがほとんどです。
そんな牛乳は当然“乳牛の母乳”なのですが、これは人間の母乳と何が違うのか、ちょっと気になりませんか?
どちらも赤ちゃんを育てるための栄養食でありながら、実はこの2つ――比べてみると、中身も、役割も、意外と別モノなのです。
栄養成分が違う
牛乳と母乳の主要な成分比較

牛乳
牛乳はタンパク質が多いのが特徴。また、カルシウムやリンなどのミネラルも多く、筋肉や骨の成長に最適です。
母乳
母乳は糖質(乳糖)が多いのが特徴。乳糖は脳のエネルギー源になり、腸内環境を整える効果もあります。また、免疫力を高める免疫グロブリンやラクトフェリンなども多く含まれています。
設計上のコンセプトが違う

なぜ栄養成分が違うかというと、牛と人間では成長のしかたが違うから。
牛は人間より寿命が短く、生後約1年で体重は成牛の半分に達するほど体の発育が速いです。対して、人間は体の発育よりも脳や神経の発育の方が速く、それら神経系の成長期は産まれた瞬間から始まります。
そのため、牛乳には体を早く大きくするためのタンパク質やミネラルが多く含まれ、母乳には神経系を発育させるための乳糖や未熟な体の免疫力を高めるための抗体などが多く含まれます。
つまり牛乳は「体の発育」、母乳は「脳・神経の発育」をコンセプトに作られているのです。
人間と牛乳

ちなみに、人間の赤ちゃんを早く大きくしたいと思っても牛乳は適しません。
確かに牛乳には母乳の3倍ほどのタンパク質が含まれていますが、そのほとんどが吸収の遅いカゼインとなっていて、しかもこれは母乳のそれより分子が大きいため、赤ちゃんの消化器官には負担が大きすぎます。また、場合によってはこれが「異物」とみなされてアレルギーの原因にもなり得ます。
しかし、乳児期を過ぎた子どもや成人にとっては、一変して優良なタンパク源となり、私たちの健康や充実した食生活を支えてくれます。
そういった意味で牛さんには本当に感謝ですね。
この記事のライター
physica編集部
楽しくて役に立つフィットネス情報をお届けしています。