アミノ酸スコアとDIAAS - physica

タンパク質の「質」を評価する指標としてよく使われるアミノ酸スコア。

スコアが100なら“良質なタンパク質”と解釈できるのですが、実はこの評価法にはひとつ欠点があります。

アミノ酸スコアの欠点

「消化吸収を考慮していない

アミノ酸スコアは、食品に「どのくらいバランス良くアミノ酸が含まれているか」を示すだけで、実際に体がどれだけ吸収できるかは考慮していません。

たとえば、アミノ酸スコア100の食品であっても加熱や調理法によって吸収率が変化するものがあり、これによって人体に吸収される段階では理想のアミノ酸バランスではなくなっている場合があります。

DIAAS(消化性必須アミノ酸スコア)

そこでFAO(国連食糧農業機関)が2013年に打ち出した最新のタンパク質の評価法が、DIAAS(消化性必須アミノ酸スコア)です。

これは、消化吸収率を加味したアミノ酸スコアのようなもので、より現実的な評価が可能です。また、これまでと違いスコアが上限の100で頭打ちになることがないため、より食品ごとのタンパク質栄養価を比較しやすい指標となっています。

たとえば

アミノ酸スコアとDIAAS

このように、アミノ酸バランスが良くても吸収が悪ければスコアは下がり、逆にバランスと吸収が共に良ければスコアが100を超えることもあります。

現行はアミノ酸スコア

しかしながら生きたヒトの体内の消化・吸収率を直接測るのは難しいため、今のところDIAASで出されるスコアは、ブタやラットなどの回腸消化率をもとに計算されたものがほとんどとなっています。

このことから、私たちが目にする食品栄養表示では、やはりアミノ酸スコアが使われているのが現状です。

ヒトの体を傷つけずに消化・吸収率を測る方法も開発されてきてはいるので、DIAASの今後に注目したいところです。

■ 参考文献

FAO (2013). Dietary protein quality evaluation in human nutrition. Report of an FAO Expert Consultation.

Rutherfurd SMら. (2015). Digestible indispensable amino acid scores for foods. Br J Nutr.

日本食品標準成分表2020年版(八訂)

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physica編集部

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