ストレスに強い脳を作る?ヨガと灰色の脳細胞 - physica

「ヨガは心を落ち着ける」と言われますが、実は脳の構造そのものを変える可能性があることをご存じでしょうか?

近年の脳科学研究では、ヨガの継続が脳の「灰白質」を増やすという驚きの結果が報告されています。

灰白質(かいはくしつ/Gray Matter)

脳や脊髄にある神経細胞の本体が集まる領域のこと。主に記憶・感情・意思決定・注意力・運動制御などを担っています。加齢やストレスによって灰白質は徐々に減少しますが、逆に特定の習慣や運動によって増やすことも可能だとされています。

ヨギーの脳はストレスに強い?

アメリカのボストン大学の研究チームによると、ヨガを長期間実践している人は、前頭前皮質・海馬・側頭葉などで灰白質が増加しているとのこと。

これらの領域は、集中力や注意力(前頭前皮質) 記憶形成(海馬) 情報処理や感情制御(側頭葉) などに関与しています。

つまり、ヨガをすることでストレスに強く、集中力のある脳へと変化している可能性があるのです。

「運動」と「瞑想」の両方が脳に効く

ヨガ

ヨガの特徴は、ストレッチやポーズだけでなく呼吸法や瞑想(マインドフルネス)も含まれている点です。

同じくハーバード大学の研究でも、瞑想経験者の脳では灰白質が厚くなっていることが確認されていて、研究者たちはこの身体的運動+精神的集中の組み合わせこそが、脳構造の変化に関与していると考えています。

どれくらい続ければ効果がある?

まだ明確な最低ラインは分かっていませんが、複数の研究では次のような傾向が示されています。

  • 週3回・1回60分前後のヨガを8〜12週間続けたグループに灰白質の変化が観察された
  • 特に呼吸に意識を向けるスタイル(ハタヨガ、ヴィンヤサなど)で効果が出やすい傾向

灰色の脳細胞を使え

ポワロ

アガサ・クリスティーの小説の中で名探偵ポワロが言っていた「灰色の脳細胞」が、まさかのヨガで鍛えられる可能性が出てきました。

難事件の解決に頭を悩ませている人はもちろん、そうでなくても何かとストレスが多い現代社会。忙しい時こそヨガの時間を取り入れてみるのもありかもしれませんね。


参考文献

  • Gothe, N. P.ら (2019). Yoga effects on brain health: A systematic review of the current literature. Frontiers in Human Neuroscience, 13, 284.
  • Lazar, S. W.ら (2011). Mindfulness practice leads to increases in regional brain gray matter density. Psychiatry Research: Neuroimaging, 191(1), 36–43.
  • Froeliger, B.ら (2012). Yoga meditation practitioners exhibit greater gray matter volume and fewer reported cognitive failures: Results of a preliminary voxel-based morphometric analysis. Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine, 2012.

この記事のライター

physica編集部

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