
運動パフォーマンスが上がる「ちょうどよい緊張感」 - physica
スポーツや筋トレなどの運動をしているとき
「緊張しすぎてうまく動けなかった」「逆に気合いが入らず集中できなかった」
そんな経験はありませんか?
このような緊張状態と運動パフォーマンスについての法則が、心理学の分野で知られる「ヤーキーズ・ドットソンの法則」です。
ヤーキーズ・ドットソンの法則
ヤーキーズ・ドットソンの法則とは、1908年に心理学者のロバート・ヤーキーズとジョン・D・ドットソンが提唱した生理心理学の法則です。
ざっくり言ってしまえば
「緊張しすぎてもリラックスしすぎてもパフォーマンスは落ちる。ほどよい緊張状態にあるときにパフォーマンスは向上する」
というもの。グラフで表すと逆U字のカーブを描きます。

① 緊張度が低い(リラックスしすぎ): やる気が出ず、集中力も低下し、パフォーマンスは上がりません。
② 緊張度が「最適なゾーン」にある: 適度な緊張感が集中力を高め、最高のパフォーマンスを発揮できます。
③ 緊張度が高い(ストレス過多): 過度な緊張や不安、プレッシャーで身体がこわばり、かえってミスが増えたり、本来の力が出せなくなったりします。
この法則は、プレゼンテーションやテスト勉強など、あらゆる分野に当てはまりますが、フィットネスにおいても非常に重要な考え方です。
フィットネスシーンでの例
この法則をフィットネスに当てはめると、次のような例が考えられます。
緊張度が低すぎる例
• 練習の目的を意識せず、ただメニューをこなすだけ。
• トレーニングメニューを組まずに、なんとなくジムに行くだけ。
• あと1レップを追い込む意欲が湧かない。
緊張度が高すぎる例
• 毎日限界まで追い込み、過度な疲労や筋肉痛で身体を痛めてしまう。
• ベンチプレスのMAXを測ろうとしたが、意気込みすぎていつもの力が出ない。
• 「絶対に痩せなきゃ」というプレッシャーから、運動をすると息苦しく感じる。
運動の種類によって「最適なゾーン」は違う
実は緊張度の最適なゾーンは運動の種類によって異なります。
例えば、動作が単純な種目(短距離走・重量挙げなど瞬発力に依存する種目)は、強めの緊張や興奮がプラスに働きやすい傾向にあります。
逆に、動作が複雑な種目(ダンス・射撃・ゴルフなど繊細な動きや集中力が必要な種目)は、それをこなすこと自体に大きなストレスがかかるので、過度な緊張は逆効果。むしろリラックスして臨むくらいでちょうどよいでしょう。
「最適なゾーン」に持っていくために
理想はトップアスリートがしているように、自分の緊張度を一定に保つための「ルーティン」を作ること。
バッターボックスでユニフォームの袖をまくりバットを構える、フリーキックの前に仁王立ちをする、リフトの前に「Light weight baby!」と叫ぶ、などは有名ですね。
他にも緊張度を高めたいときはハイテンポな音楽を聞く、リラックスしたいときは深呼吸する、なども効果的です。色々試して自分に合ったやり方を確立しましょう。
ヤーキーズ・ドットソンの法則を理解し、自分の体と心に耳を傾けることで、無理なく楽しく、そして効果的にフィットネスを続けることができますよ!
この記事のライター

physica編集部
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