
あなたは「空気イス」を知っているか!?〜アイソメトリックトレーニングの効果と注意点〜 - physica
こんにちは、フィジカ編集部です。
皆さんは「空気イス」を知っていますか?
壁に背中をつけて中腰で踏ん張り、あたかもイスに座っているかのような姿勢で静止するトレーニングのことです。

今では体罰になってしまいますが――ある年齢より上の人は、学生時代に部活や体育の授業で「校庭◯周!」「腕立て◯回!」のようなペナルティとしてこれをやらされた経験もあるかもしれませんね。
実は、このような筋肉を動かさずに力を入れ続けるタイプのトレーニングは「アイソメトリック(等尺性)トレーニング」と呼ばれ、通常のダイナミックな筋トレとは違った効果が得られます。
それを踏まえた上で、空気イスにはどんなトレーニング効果があるのか(あったのか)、またそれを実用する際の注意点やポイントについても併せて解説します!
空気イスの効果

1. 大腿四頭筋の筋持久力を高める
空気イスで最も刺激されるのは「太ももの前側」にある大腿四頭筋。動かさずに力を出し続けることで、筋持久力(筋肉のスタミナ)を高めることができます。
特にスキー、ラグビー、レスリングなどの競技では、これを必要とする場面が多いため、競技力向上にも効果的です。
2. 脚トレ(筋肥大)のアクセントになる
例えばバーベルスクワットと空気イスを比較したとき、バーベルスクワットの重さによる負荷に対して空気イスは時間による負荷が筋肉にかかります。
実はこのような持久的なトレーニングは、筋繊維のうちの筋形質を育てる要素となり、筋肥大の一部を担います。
したがって、これがメインにはなり得ないものの、バーベルスクワットとは別日に行うなどすることで、より質の高い脚トレが可能になります。
3. 膝関節の安定性アップ
姿勢を保つ中で、膝周りの筋肉が協調して働くため、関節の安定性が高まります。これは膝のケガ予防(特にACL損傷など)にもつながる重要なポイント。
4. 姿勢保持力と体幹強化
空気イス中は、自然と腹圧(お腹に力を入れる)が高まり、体幹部にも適度な刺激が入ります。背中を丸めず、良い姿勢を意識することで、姿勢改善や腰痛予防にも役立ちます。
5. 高齢者のリハビリや運動テストにも◎
空気イスは、筋持久力の向上には効果的なものの、筋力の向上にはそこまで効果的ではありません。
これは、筋肉は本来「関節を動かす」ために存在しているのに対して、アイソメトリックトレーニングは「関節を動かさない」で行うトレーニングだから。
しかし、その場でできる手軽さに行えて筋肉に過度な負荷もかからないことから、高齢者のリハビリや筋持久力テストには適しています。時間を計ることで、自分の成長を数値化するのにも便利です。
注意点とポイント

● 正しいフォームが命!
膝の角度は90度が目安(太ももと床が平行)です。背中はまっすぐ、壁にしっかりつける、足の位置が壁に近すぎて膝がつま先より前に出ないように注意!
● やりすぎ注意
強い筋収縮が起きないとはいえ、長時間無理をすると膝や腰に負担がかかります。まずは30秒〜1分程度から始め、慣れてきたら少しずつ時間を延ばしましょう。
● 呼吸は止めずに
息を止めると血圧が急上昇してしまうことがあります。自然な呼吸を続けながら行うことが安全のカギです。
まとめ
空気イスは、典型的なアイソメトリックトレーニング。特に筋持久力を向上させる効果が期待できます。
また、手軽でありながら筋肥大のアクセントにもなり得ます。脚トレを頑張りたい方や運動初心者、高齢者にとっては意外なほど効果的なトレーニングの一つです。
苦い思い出のある方もいるかもしれませんが、改めて試してみる価値は大いにアリです!
この記事のライター

physica編集部
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