
健康は基本的人権? 世界の憲法に見る「健康」への意識 - physica
こんにちは、フィジカ編集部です。
5月3日は憲法記念日。
健康を愛する我々としては、やはり気になるのは国民の健康に対する憲法のスタンスです。
改めて我が国の憲法を見てみましょう。
第1項:すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
第2項:国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
そもそも憲法とは「国がしなければならないこと、してはいけないこと」を定めた国のルールであり最高法規です。
その憲法によって、国民の健康権とそれを保障する国の義務が明確に示されています。
これは世界的に見ても先進的な例と言えます。
では、世界各国の憲法では国民の健康はどのように位置づけられているのでしょうか?
ということで今回は、「世界の憲法」における健康への意識を探ってみたいと思います。
世界の憲法に見る「健康」への意識
スペイン
スペイン憲法第43条:「健康の保護に対する権利は、これを認める。」
スペインでは、明確に健康への権利を規定しています。また、続く第2項、第3項では、公衆衛生の組織化や健康教育・体育・スポーツの推進なども国の責務としており、国家レベルで「運動」を推奨していることも伺えます。

ブラジル
ブラジル連邦共和国憲法第196条:「健康は全ての国民の権利および国の義務であり、疾病およびその他の健康上の危険負担の問題ならびに健康の増進、保護および回復のための活動と役務に対する一般的かつ平等な利用を目指す社会的、経済的政策によって保障される」
直訳すると長いですが、要するに"健康は国民の権利かつ国の義務で、これを守るためのサービスはみんなが平等に受けられます"という内容です。
この理念に基づいて、ブラジルでは全ての国民が血圧検査から臓器移植までの医療を無償で受けられる統一保健医療システム「SUS」が創設されました。

南アフリカ
南アフリカ共和国憲法第27条:「医療サービス、食料、水、社会保障へのアクセスを権利として保障する」
医療、食料、水、といった具体的な表現に、背景にある経済格差の大きさを感じます。
また、これらの権利を実現するために、国が適切な措置を講じる義務を課しています。さらに、緊急医療は誰であっても拒否できないことも明記されています。

韓国
大韓民国憲法第35条:
- すべて国民は、健康で快適な環境で生活する権利を有し、国家及び国民は、環境保全のために努力しなければならない。
- 環境権の内容及び行使については、法律でこれを定める。
- 国家は、住宅開発政策等を通じ、すべての国民が快適な住居生活をすることができるように努力しなければならない。
興味深いのは、健康を住居などの生活環境と結びつけて規定しているという点です。これは、良好な生活環境が国民の健康維持に不可欠であるという認識に基づいています。

WHO
国際的な規範:「到達しうる最高水準の健康」
国家の憲法ではありませんが、世界保健機関(WHO)憲章は、健康に関する重要な国際的規範です。
「到達しうる最高水準の健康を享有することは、人種、宗教、政治的信念又は経済的若しくは社会的条件の差別なしに万人の有する基本的権利の一つである。」と宣言しており、国際社会における健康権の基盤となっています。
また、国際人権規約(経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約)第12条も、「到達可能な最高水準の身体的及び精神的健康を享受する権利」を認めており、健康への権利は国際的な人権規範としても確立されています。
まとめ
これらの例を見ると、各国がそれぞれの社会状況や歴史的背景を踏まえながらも、「健康」を重要な国民の権利として捉え、国の責任を明確にしようとしている姿勢が伺えます。
世界の憲法に見る健康に関する様々な規定は、各国が国民の健康を重要な価値として捉え、その保障に努めようとする姿勢を示しています。その表現方法や国の義務の範囲は異なりますが、「健康」が個人の尊厳や幸福な生活の基盤となるという認識は共通しているように思えます。
私たちが享受している健康は、当たり前のようでいて、憲法をはじめとする様々な法的基盤によって支えられているのかもしれません。改めて、自身の健康を大切にするとともに、社会全体の健康に関心を持つことの重要性を感じさせられます。
この記事のライター

physica編集部
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