腱と靱帯。役割だけじゃない「疲労と回復」の違い - physica

一般的に、筋トレをした後の筋肉の回復には48〜72時間かかると言われています。

トレーニングの強度や習熟度によっても異なりますが、このことから同じ部位の筋トレは2日〜3日に1回が理想の頻度となります。

しかし、筋トレの疲労は筋肉だけに起こるわけではありません。実は靱帯にもしっかり負担がかかっています。

しかも、これらは筋肉とは疲労の現れ方や回復のしかたが異なります。

力を伝える「腱」と関節を支える「靱帯」

まずは基本から。

腱 = 筋肉と骨をつなぐ組織

靱帯 = 骨と骨をつなぐ組織

です。

なんとなくごっちゃになっていた人も多いのではないでしょうか。

どちらも「主にコラーゲン線維からできている非常に丈夫な結合組織」という点では共通していますが、それ以外はついている場所も役割も明確に別モノの組織です。

(けん)とは

腱は、筋肉と骨をつないでいる組織です。

例:下腿三頭筋と踵骨をつなぐアキレス腱

筋肉が縮むと、その力は腱を介して骨に伝わります。そして骨が動くことで、私たちは関節を曲げたり伸ばしたりすることができます。

また、腱は筋肉と同様に外から加わった力を受け止めます。

例えば、ランニングなら着地のたびにアキレス腱などに負荷がかかります。筋トレでも、スクワット、デッドリフト、カールなど、さまざまな種目で腱には力が加わっています。

疲労が蓄積すると

ジャンプや高重量のトレーニングなどで「引き伸ばされる負荷(エキセントリック収縮)」を受けると、微小な損傷が蓄積します。筋肉よりも血流が少ないため、回復が追いつかないまま高頻度で負荷をかけ続けると慢性的な腱炎(アキレス腱炎、膝蓋腱炎など)へ移行します。

回復の特性

筋肉の回復(48〜72時間)に比べ、腱の組織修復には数週間〜数ヶ月単位の時間を要します。ただし、制御されたメカニカルストレス(重い負荷をゆっくりかけるアイソメトリック運動やエキセントリック運動)を与えることで、コラーゲン合成が促され強化される特性もあります。

靱帯(じんたい)とは

靱帯は、骨と骨をつないでいる組織です。

例:腓骨と距骨・踵骨をつなぐ外側靱帯

主な役割は、関節を安定させること。関節は、ただ骨と骨が接しているだけではありません。靱帯によって骨同士を適切な位置に保ち、関節が必要以上に動いてしまうのを抑えています。

また、靱帯は筋肉のように収縮する組織ではないため、筋肉のような「疲労感」が出るわけではありません。

しかし、関節に繰り返し大きな力が加われば、靱帯にも機械的なストレスがかかります。

例えば

  • 急激な方向転換
  • ジャンプからの着地
  • 関節が本来の可動範囲を超えて動くこと

などは、靱帯に大きな負担をかける可能性があります。

疲労が蓄積すると

筋肉や腱のように運動力を生み出すわけではないため、日常の規則的な運動で「疲労物質が溜まる」という概念とは少し異なります。しかし、関節に微小な捻れや無理な負荷が繰り返し加わると、靭帯を構成するコラーゲン繊維が微小に引き伸ばされ、関節のゆるみを引き起こします。

回復の特性

靭帯は腱以上に血管が非常に少なく、一度完全に伸びたり断裂したりすると自然治癒しにくい(元の硬さに戻りにくい)という最大の特徴があります。回復には年単位の時間を要することも多く、強固な回復には周囲の筋肉による補強が不可欠です。

筋トレの頻度は「筋肉だけ」を基準にしないこと

ここが非常に重要です。

筋肉の場合【運動 → 疲労 → 休養 → 超回復】というサイクルをイメージしやすいでしょう。

しかし、腱や靱帯では、やはりその回復の遅さがネックになり、負荷が大きすぎたり頻度が高すぎたりすると、組織へのストレスが回復を上回ることがあります。

▲一般的に腱や靱帯の回復は、年齢が高くなるほど遅くなります。若い頃と同じ“重さ”は扱えても、同じ“頻度”のトレーニングは厳しくなります。

なので「筋肉痛が治ったから」と筋肉の疲労感だけを基準にしてトレーニング頻度や負荷を決めてしまうと危険です。

特に、筋肉痛はないのに特定の関節周辺に繰り返し痛みが出る場合は、トレーニング内容やフォーム、頻度などを見直しましょう。時には休むことも筋肉を育てる戦略の一つです。

この記事のライター

physica編集部

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