前腕や脛(すね)の骨はなぜ2本? - physica

「前腕(ひじから手首)」と「脛(すね)」は2本の骨からできています。

一見すると、二の腕や太もものように太い骨がどんと1本あった方が頑丈で折れにくそうですよね。でも実際はこのとおり。

▲前腕の骨(左)と脛の骨(右)

今回は、その理由について分かりやすく解説します!

前腕(ひじ〜手首)の2本

まずは前腕の骨から見ていきましょう。前腕には「橈骨(とうこつ)」と「尺骨(しゃっこつ)」という2本の骨が並んでいます。

橈骨:親指側の骨。
尺骨:小指側の骨。ひじの「肘鉄(ひじてつ)」にあたる部分。

なぜかこの2本が必要なのかというと、それは手のひらをクルクルと返す(回内・回外)ためです。

▲実は橈骨は上腕骨(二の腕の骨)と完全にくっついていない

もし前腕の骨が1本しかなかったら、私たちはドアノブを回すことも、ドライバーでネジを締めることも、うちわを仰ぐこともできません。手のひらを上や下に向けられるのは、この2本の骨が絶妙に交差してくれるおかげです。

手のひらを上に向けたときは2本の骨が平行に並んでいますが、手のひらを下に向けたときは、橈骨が尺骨をまたぐように斜めにクロスします。これを「回内」といい、この動きをするためにどうしても2本の骨が必要だったのです。

脛(すね)の2本

次は脛の骨です。すねには「脛骨(けいこつ)」と「腓骨(ひこつ)」があります。

脛骨:内側のめちゃくちゃ太い骨。弁慶の泣き所。
腓骨:外側の細い骨。

これは前腕のように「足首をクルクル回すため」…と思いきや、こちらには別に重要な理由があります。

それは体重を支えつつ、地面からの衝撃を分散させるためです。

人間の全体重やすねにかかる衝撃の約9割は、太い「脛骨」がガッシリと支えています。じゃあ、隣の細い「腓骨」は何をしているのかというと、主に以下の役割を担っています。

 足首のストッパー: 外くるぶしは、実は腓骨の端っこです。これが壁の役割を果たし、足首が外側にグラつくのを防いでいます。

 衝撃吸収: 走ったりジャンプして着地したときなど、強い衝撃がかかると、腓骨がわずかに「しなる」ことで衝撃を外側に逃がすサスペンションの役割を果たします。

▲着地の衝撃を分散させやすい

もしここが太い骨1本だけだったら、衝撃がダイレクトに膝や腰に伝わって痛めてしまったり、ポキッと折れやすくなったりしてしまいます。メインで支える柱(脛骨)と衝撃を逃がすサスペンション(腓骨)の2本がペアで存在しているからこそ、私たちは激しく走ったり跳んだりできるのです。

実は「陸棲哺乳類」共通の基本デザイン

この「根元(二の腕・太もも)は1本、その先(前腕・すね)は2本」という骨格の構成は、人間に限った話ではありません。陸上で生活する哺乳類は、基本的にすべてこのデザインをしています。

ただし、二足歩行の哺乳類と四足歩行の哺乳類とでは構造が若干違い、二足歩行は体重荷重、四足歩行は走力に特化した作りになっています。

具体的なところでは、四足歩行には後脚の「腓骨」が退化したり脛骨に癒着しているものが多く、割と脛の骨が1本化されています。その方が地面を蹴った力をそのままスピードに換えやすいからです。

▲犬の骨格

逆に言えば体重荷重に長けていない四足歩行は脛骨や腓骨が折れやすいので、ワンちゃんや猫ちゃんを飼っている方は注意してあげた方が良いですね。

この記事のライター

physica編集部

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