揺れる電車の中で三戦は役立つのか? - physica

立って電車に乗っている時、あの漫画の読者の脳裏には、自然と“ある考え”がよぎります。

「空手の三戦は本当に電車で役立つのか?」

そう、漫画『バキ』に登場する「三戦(サンチン)」です。

©︎『バキ』板垣恵介/秋田書店

三戦は実在する空手の型

三戦(三戦立ち)とは、実際に沖縄空手に伝わる型の一つです。

脇を締め、膝を内に絞り、片足を半歩前に置いて腰を落として構えます。

漫画『バキ』に登場する空手の達人・愚地独歩曰く「攻撃・防御両面に優れ、なによりもバランスがいい」「電車の中で喧嘩売られたら試してみるといい」とのこと。

©︎『バキ』板垣恵介/秋田書店

©︎『バキ』板垣恵介/秋田書店

これが本当なら、電車の中でバランスを崩しやすい人にとってはこの上ない助け舟となるに違いない!

本当に電車の中で役立つのか?

結論からいうと、電車の中で立ってバランスを取るのには役立ちます。

これは普通に立った時と足の置き方を比べてみるとわかりやすいのですが

三戦立ち

普通の立ち方だと体重を支える土台が狭く前後の揺れに対して踏ん張りが効きにくいのに対して、三戦は前後左右に対して一定の安定性のある土台を作ることができます。

また三戦の構え方として、本来は内股で足を揃えた状態から片足を内→外と弧を描くように動かして構えるため、出来上がった型は「足の外側」で踏ん張った状態となっています。

三戦立ち

これによって外からの力にも強くなり、より揺れる車内での安定性が保たれるようになります。

もうこの時点で勝った気しかしない!

ただし実践にはアレンジも必要

しかし!

理論上は三戦は揺れる電車の中でバランスを取るのに有効なのですか、これをそのまま実践して上手くバランスが取れるかはまた別の話になるでしょう。

というのも、三戦は愚地独歩の言うように攻防一体の型であり、不安定な場所で攻撃(突き)を繰り出すことまで想定されているからです。

例えば、本来の三戦は、上で説明した足の運びに加えて、やや骨盤は後傾させ、呼気とともにお尻とお腹を締めて「丹田(たんでん)」と呼ばれるおへその下あたりの下腹部に力を入れます。

これは足で踏ん張った力を拳に乗せるのには良いのですが、実際の車内で必要なのは「力を外に伝えること」ではなく「力を外に逃すこと」です。戦うわけではないので。

構え自体は急な揺れに対してとっさに踏ん張りやすい形ではありますが、三戦をそのまま実践しようとするとどうしても無駄なエネルギーが生まれ、めちゃめちゃ疲れるのです。

さらに言うと、コレを電車の中で構える勇気があるのかという問題も…。

満員電車ならまず足が開けない。

©︎『バキ』板垣恵介/秋田書店

なので、三戦の車内実践運用には少しアレンジが必要になってきそうです。

現実的なアレンジ

① 片足を半歩前へ

なぜ三戦が安定するかと言えば、それは片足が前に出ているからです。左右の足幅が狭かったとしても、これだけで前後の揺れに対する耐性には雲泥の差があらわれます。

②膝の力を抜く

深く腰を落とさずとも、膝の力を抜いてリラックスして立つと重心の移動がしやすくなります。

③お腹を締める

「呼ッ」と呼吸をする必要はありません。丹田に気を集中するのも難しいでしょう。お腹を少しだけ凹ませるように意識して締めましょう。自分の重心の位置が少しだけ低く安定するのがわかると思います。電車が揺れた時に上半身から持っていかれるのを防げます。

④腕はリラックス

敵から攻撃されることはないので、腕は普通に下げていて大丈夫です。

あとは慣れ

電車

もちろん平衡感覚には個人差があります。しかし、この能力は不安定な環境に慣れさせることで鍛えることもできます。

電車の中でバランスを崩しやすい人は、 転ばないように注意しつつ、ちょっとだけ三戦を試してみるのもアリかもしれませんよ。


この記事のライター

physica編集部

physica編集部

楽しくて役に立つフィットネス情報をお届けしています。

TOP